50歳からのメンタルケア(第二回) あしたの医薬

循環器系のストレス関連症

循環器系のストレス関連症① 高血圧

多くの人が悩む別名「白衣高血圧」

消化器系の次に取り上げるのは、ポンプ役の心臓とポンプからチューブのように延びる血管からなる「循環器系」のストレス関連症です。

循環器系のストレス関連症状でいちばん多い症状は「高血圧」です。

血圧とは血管に加わる圧力のことです。心臓が収縮して血液を送り出した瞬間、血管にはいちばん強い圧力がかかっています。これが収縮期血圧(最高血圧)。続いて収縮した心臓が広がるときに、血管への圧力がもっとも低くなります。これが拡張期血管(最低血圧)。そのどちらが高くても高血圧です。

日本高血圧学会のガイドラインでは、収縮期血圧140mmHgまたは拡張期血圧90mmHg以上が高血圧。正常血圧は同じく130mmHg未満かつ85mmHg未満、目指すべき血圧は120mmHg未満かつ80mmHg未満です。高血圧のほとんどは原因を明確に特定できない本熊性高血圧。遺伝的な素因に加えて、塩分の摂り過ぎ、肥満、運動不足などの要因が複雑に作用して、40代を過ぎる頃から血圧が上がり始めます、現在、日本で高血圧の治療を受けている人はおよそ780万人に上ります。

血圧が高くなると血管につねにストレスが加わり、心臓から組織に向かう動脈が傷みやすくなります。その結果、心臓病や脳卒中を起こしやすくなります。

ストレス関連症による高血圧は、変動が大きいのが特徴です。病院や診療所で血圧を計るときだけ高くなる人もいます。医師や看護師のように白衣を着ている人の前で血圧が高くなることから、これを「白衣高血圧」と呼びます。緊張すると血圧が高くなるのは、ストレスで血圧が高くなりやすい証拠です。

イメージカット:遠隔診察

進行するまで自覚症状がありませんから、普段から血圧を測る週間をつけることが大切です。上腕にカフを巻いて測る上腕血圧計ならかなり高い精度で測ることができます。測る前、1~2分ほど安静にしたら、ラクな姿勢で座り、腕を机に載せて心臓と同じ高さで測ります。こうして測った家庭血圧が、病院や診療所で測った血圧よりも低い場合、ストレス関連症による高血圧の素因があります。

体内の水分量を増やして血圧を上げる塩分の制限(1日に男性9.0g未満、女性7.5g未満。高血圧の人は1日6g未満)、ウォーキングなどの軽い運動、肥満の解消などは高血圧のリスクを下げてくれます。

循環器系のストレス関連症② 心臓病

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